Webライターの確定申告は、支払調書を待つ必要がありません。自分で年間の報酬総額と源泉徴収額を集計するところから始めてください。
発注元には、受け取る側へ支払調書を交付する義務がありません。そのため、届くのを待つうちに申告期限が迫ります。
集計さえ終われば、あとは経費の整理、申告書の作成、納付または還付と進むだけです。
初めてのWebライターの確定申告でつまずかない手順を、順番に解説しています。ぜひ参考にしてみましょう。
Webライターの確定申告は報酬の集計から始める

Webライターの確定申告は、1年分の報酬額と源泉徴収額を自分で集計するところから始めてください。
発注元から届く書類を待つ必要はありません。流れと期限さえ押さえておけば、手は止まらないでしょう。
はじめに、全体の4ステップ、申告と納税の期限、支払調書の扱いの順に確認してください。
確定申告までの流れは4ステップ
確定申告の全体像は、報酬の集計・経費の集計・申告書の作成・納付または還付の4ステップです。
どの段階で何を用意するのか、先に表で確認してください。
| ステップ | やること | 使うもの | 目安時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | 報酬と源泉徴収額を集計する | 請求書の控え、通帳の入金記録 | 取引先の数ごとに変動 |
| 2 | 経費を集計する | 領収書、クレジットカード明細 | 領収書の枚数ごとに変動 |
| 3 | 申告書を作成する | 帳簿、確定申告書等作成コーナー | まとまった時間を確保 |
| 4 | 納付または還付を受ける | 申告書の控え、振込先口座 | 短時間で完了 |
ステップ1でつまずくと、経費の集計も申告書の作成も先へ進みません。
そのため、報酬額を確定させてから次のステップへ移りましょう。
申告と納税の期限を先に押さえる
令和7年分の確定申告は、令和8年(2026年)2月16日(月)から3月16日(月)までが受付期間です。
通常の締切は3月15日ですが、2026年は日曜にあたるため翌営業日の3月16日が期限になります。
期限から逆算し、1月のうちに報酬と経費の集計を終えておきましょう。そうすれば、作成の時間に余裕が生まれます。
なお、取引先が多い方は、入金があった月ごとに金額を記録してください。集計の負担を分散できます。
いずれにせよ、締切間際で慌てないよう、期限をカレンダーに入れてから作業を始めてください。
支払調書が届かなくても申告はできる
支払調書が手元に届かなくても、確定申告は問題なく進められます。
支払調書は、支払者が税務署へ提出する書類です。受け取る側への交付義務は法律上ありません(国税庁No.7400)。
そのかわり、申告の根拠になるのは自分の請求書の控えと通帳の入金記録から集計した報酬額です。
原稿料は、100万円以下の部分に10.21%が源泉徴収されます。振込額から差し引かれた税額も、照らし合わせましょう。
むしろ、届くかどうか分からない書類を待つのではなく、手元の記録を先に並べてください。
STEP1 報酬と源泉徴収額を集計する

1年分の報酬は、振り込まれた金額ではなく源泉徴収が引かれる前の報酬総額が基準になります。
売上・源泉徴収税額・手数料の3つに分解して記録するのが、集計の基本です。
続いて、3つの分け方を順に確認してください。
振込額ではなく報酬総額を売上に計上する
売上に計上するのは、口座に入った金額ではなく、請求書に書いた報酬総額です。
報酬総額100,000円の案件なら、源泉徴収税額10,210円が引かれます。振込は89,790円です。
売上欄に書くのは89,790円ではありません。100,000円という報酬総額です。
ただし、振込額をそのまま売上にすると還付を取り損ねるので、内訳を分けて記録してください。
そのうえで、集計に使う記録は次の3つをそろえておきましょう。
- 請求書の控え
- 銀行の振込明細
- 発注元のマイページの報酬履歴
3つを突き合わせると、報酬総額と振込額の差がそのまま源泉徴収税額として見えてくるはずです。
源泉徴収されているかは10.21%で見分ける
はじめに、源泉徴収されているかどうかは報酬総額に対する差引額の割合で見分けられます。
引かれた金額が報酬総額の10.21%にあたるなら源泉徴収税額です。
報酬総額50,000円なら、引かれる金額は5,105円になります。20,000円なら2,042円が目安です。
なお、1件の支払金額のうち100万円を超える部分の税率は20.42%になります。
一方、差引額が発生していない案件は源泉徴収されていません。報酬総額を売上に計上するだけで十分です。
クラウドソーシングの手数料は経費として扱う
クラウドソーシングのシステム手数料は、売上から引かずに経費として計上します。
たとえば、報酬総額100,000円で手数料が20,000円なら、振込は80,000円です。
帳簿には売上100,000円と支払手数料20,000円を分けて記録しましょう。
振込額をそのまま売上にすると、帳簿上の売上高が実際の取引規模と合わなくなります。
なお、源泉徴収と手数料の両方が引かれる案件もあるので、報酬明細で内訳を確認してください。
STEP2 経費を集計して帳簿をつける

経費にできるのは、ライティングの仕事に使った費用です。
白色申告でも帳簿の保存は義務になるので、集計と記録はセットで進めてください。
続いて、費目の考え方、家事按分、保存のルールの順に確認しましょう。
Webライターが経費にできるもの
経費にできるのは、執筆の仕事をするために直接かかった支出です。
| 費目 | 具体例 | 按分の要否 |
|---|---|---|
| 通信費 | ネット回線・スマホ代 | 必要 |
| 水道光熱費 | 電気代 | 必要 |
| 地代家賃 | 自宅の家賃 | 必要 |
| 消耗品費 | 文房具・パソコン周辺機器 | 不要 |
| 新聞図書費 | 資料として買った書籍 | 不要 |
| 支払手数料 | 振込手数料・仲介手数料 | 不要 |
ただし、プライベートと共用しているものは全額を落とせません。仕事で使った分だけを計上してください。
家賃や電気代は家事按分で計上する
事業に使った割合だけを計上する家事按分で、家賃や電気代を処理します。
割合の基準になるのは、作業時間または使用面積の割合です。
たとえば仕事専用の部屋があるなら、床面積の比を使います。時間で分けるなら、1日の作業時間の比というように計算根拠をそろえてください。
もっとも、根拠を示せない一律の割合で按分してはいけません。
按分の計算過程は、メモに残しておいてください。そうすれば、後から説明を求められても落ち着いて対応できるでしょう。
白色申告でも帳簿の保存は必要
白色申告でも、記帳と帳簿の保存は義務になります。
2014年1月以降はすべての白色申告者が記帳・保存の対象です。所得が少なくても免除されません(国税庁No.2080)。
もっとも、白色なら記帳不要という説明は古い情報です。対象が所得300万円超に限られていた時代の話なので、うのみにしないでください。
ちなみに、保存期間は収入金額や必要経費を記載した帳簿が7年です。請求書や領収書などの書類は、原則5年になります。
手作業での記帳は負担が大きいでしょう。Webライター向け会計ソフトの選び方もあわせて確認してください。
STEP3 申告書を作成して提出する

申告書は、国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成します。提出は、e-Tax・郵送・持参のいずれかです。
画面の案内に沿って金額を入力すれば、税額は自動で計算されます。そのため、手書きの用紙を取り寄せる必要はありません。
作成の進め方、提出方法の選び方、記入漏れを防ぐポイントの順に確認しましょう。
確定申告書等作成コーナーで作成する
申告書は、国税庁サイトの確定申告書等作成コーナーで作れます。
画面の案内に沿って、報酬の総額と経費を入力していく流れです。
また、青色申告の場合は、貸借対照表と損益計算書を含む青色申告決算書もあわせて作成します。
入力した数字から税額が自動で計算されるので、自分で税率を掛ける作業は不要です。
むしろ、計算の正確さを気にするより報酬総額と経費を漏れなく入力することに集中しましょう。
提出方法はe-Tax・郵送・持参の3つ
提出方法は、e-Tax・郵送・持参の3つから選べます。
| 方法 | 必要なもの | 青色65万円控除 | 向いている方 |
|---|---|---|---|
| e-Tax | マイナンバーカードなど、e-Taxを利用できる環境 | 可 | 自宅で完結させたい方 |
| 郵送 | 印刷した申告書と本人確認書類の写し | 優良な電子帳簿保存の要件を満たす場合のみ | 窓口へ行く時間がない方 |
| 持参 | 印刷した申告書と本人確認書類 | 優良な電子帳簿保存の要件を満たす場合のみ | その場で確認したい方 |
※2026年8月時点の情報です。最新の内容は各公式サイトをご確認ください。
65万円控除にはe-Taxでの申告か優良な電子帳簿保存が必要です。したがって、提出方法は控除額とセットで決めましょう。
源泉徴収税額の記入を忘れない
入力画面には源泉徴収税額の欄があるので、集計した金額を必ず記入してください。
報酬から差し引かれた税額は、所得税の前払いにあたります。
そうすれば、計算後の税額から差し引かれ、払いすぎた分が戻る仕組みです。
ところが、欄を空欄のまま提出すると前払いした税額が還付されません。
いずれにせよ、支払明細の金額と入力値が一致しているか、送信前に見直しましょう。
STEP4 納付または還付を受け取る

申告書を提出したあとには、納付と還付という2つのお金の動きが残っています。
納付の期限は申告期限と同じ日で、還付は指定した口座への振込という形で受け取る流れです。
続いて、納付方法・還付の時期・住民税の扱いの順に確認していきましょう。
納付方法と納付期限
所得税を納める期限は、申告書の提出期限と同じ日に設定されています。
たとえば令和7年分であれば、申告と納付はどちらも2026年3月16日(月)までです。
主な納付方法は、次のとおりになります。
- 振替納税
- e-Taxを使った納付
- クレジットカード納付
- コンビニ納付やスマホアプリ納付
- 金融機関や税務署の窓口での現金納付
もっとも、方式ごとに手続きが違うでしょう。利用条件を国税庁のサイトで確かめてから選んでください。
申告書を提出しただけでは、納税は終わりません。提出したその日のうちに、納付の段取りまで決めてしまいましょう。
還付金が振り込まれる時期
還付金は、申告書を提出したあとに申告書へ記入した口座へ振り込まれます。
振込までの日数は、一律ではありません。申告内容の確認に時間がかかれば前後する点に、注意してください。
ちなみに、Webライターの報酬からは支払いの時点で10.21%の所得税が源泉徴収される仕組みです。
100万円を超える部分は、20.42%が差し引かれます。経費と各種控除を計算すると、納めすぎになっている場合も少なくありません。
いずれにせよ、納めすぎた分を取り戻すためにも、受付期間の早い時期に申告書を提出しておきましょう。
住民税は申告後に別途通知される
所得税の確定申告を済ませていれば、住民税の申告を別に行う必要はありません。
申告書の内容が市区町村へ引き継がれ、住民税は所得税の申告をもとに計算される仕組みです。
そのあと、税務署への手続きが終われば、住民税額の通知が自治体から別途届きます。
気をつけたいのは、所得税の確定申告そのものを行わないケースです。
実は、副業の所得が20万円以下の会社員は、所得税の確定申告を省略できます。
ただし、住民税には20万円以下で申告が不要になる制度がありません。省略した方は、市区町村へ住民税の申告を行ってください。
青色申告と白色申告はどちらを選ぶ?

結論から言えば、複式簿記で帳簿をつけられるなら青色申告が有利になります。
とはいえ、青色申告特別控除が使えるのは事業所得と不動産所得のみです。雑所得に区分される方は注意してください。
控除額の要件と申請の期限を順に確認しましょう。
帳簿をつけられるなら青色申告が有利
記帳の手間を負担できるなら、青色申告を選んでください。
実は、平成26年1月以降は白色申告でも記帳と帳簿等の保存が義務づけられました。
収入金額と必要経費を記載した帳簿は、7年間の保存が必要です。請求書や領収書などの書類は、原則5年間になります。
つまり、白色を選んでも帳簿づけから逃げられません。
同じ手間をかけるのであれば、青色申告のほうが有利です。控除を受けられる分、手元に残る金額も増えるでしょう。
65万円控除にはe-Taxなどの要件がある
控除額は、帳簿のつけ方と提出方法で3段階に分かれます。
はじめに、55万円控除の要件は複式簿記での記帳と、貸借対照表・損益計算書の添付です。
加えて、申告書を期限内に提出しなければ55万円控除は受けられません。
65万円控除では、55万円の要件にe-Taxでの申告、または優良な電子帳簿保存が加わります。
| 控除額 | 複式簿記での記帳 | 貸借対照表・損益計算書の添付 | 期限内提出 | e-Taxまたは優良な電子帳簿保存 |
|---|---|---|---|---|
| 65万円 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 55万円 | 必要 | 必要 | 必要 | 不要 |
| 10万円 | 不要 | 不要 | ー | 不要 |
※2026年8月時点の情報です。最新の内容は各公式サイトをご確認ください。
ところが、要件を満たさない場合、控除額は最大10万円にとどまります。e-Taxでの申告か優良な電子帳簿保存を前提に、準備してください。
雑所得では青色申告特別控除を使えない
青色申告特別控除は、事業所得と不動産所得だけに適用される制度です。
雑所得に区分されると、複式簿記で記帳していても65万円や55万円の控除は受けられません。
一方、区分の分かれ目は収入金額ではなく、帳簿書類の保存があるかどうかになります。
改正されたのは、2022年10月の所得税基本通達です。帳簿書類の保存があれば、収入300万円以下でも原則として事業所得に区分されると明確になりました。
したがって、帳簿を残していない場合は原則として雑所得の扱いです。記帳と保存を先に整えてください。
青色申告には事前の申請が必要
青色申告をするには、事前に青色申告承認申請書を税務署へ提出しておく必要があります。
提出には期限が定められている点に注意しましょう。そのうえで、開業した年かどうかも含めて国税庁のサイトで確認してください。
期限を過ぎた年分は、白色申告で申告するほかありません。
今年の分に間に合わない場合もあります。期限内に申請書を出したうえで、翌年分から青色に切り替えましょう。
最後に、申請を出した時点で複式簿記の記帳を始めておいてください。翌年の申告で65万円控除を狙える体制が整います。
確定申告で失敗しやすい注意点

初めての確定申告でつまずきやすいのは、住民税の申告漏れ・期限後申告・経費の入れすぎ・消費税の扱いの4点です。
手順を終えたあとの最終点検として、順番に確認していきましょう。
所得20万円以下でも住民税の申告は必要
いわゆる20万円ルールは、所得税に限った特例です。住民税には、同じ申告不要の規定がありません。
副業の所得が20万円以下でも、住民税の申告は住んでいる市区町村へ別途行う必要があります。
「20万円以下なら何もしなくていい」という説明は、所得税の話だけを切り取ったものです。
また、給与収入が2,000万円を超える方は20万円ルールの対象外になります。医療費控除・ふるさと納税などで確定申告をする方も、同じくルールの対象になりません。
期限に遅れると加算税と延滞税がかかる
2025年分(令和7年分)の申告書の受付期間は、2026年2月16日から3月16日までです。
期限に遅れると加算税や延滞税といった追加の負担が生じるおそれがあります。日程は早めに押さえてください。
さらに、55万円・65万円の青色申告特別控除にも要件があります。貸借対照表と損益計算書を、期限内に提出することです。
その結果、遅れると控除額は最大10万円まで下がり、納める税金が増えます。
したがって、申告書の作成は2月中に終える前提で、取材や執筆の予定を組みましょう。
経費の入れすぎは説明できなくなる
経費は金額の大きさではなく、その支出が業務と結びついていると説明できるかで判断してください。
もちろん、白色申告でも記帳と帳簿等の保存は義務なので、支出の記録は必ず残しておきましょう。
しかも、自宅の家賃や通信費のように私用と混ざる支出もあります。按分した割合とその考え方をメモに残しておけば、あとから説明しやすくなるでしょう。
節税のために関連の薄い支出まで積み上げてはいけません。質問されたときに説明できなくなるので、注意してください。
インボイス登録者は消費税の申告も必要
インボイス発行事業者として登録した方は、所得税とは別に消費税の申告と納付が必要になります。
一方、免税事業者がインボイス制度をきっかけに課税事業者になった場合は、2割特例の対象です。
課税売上に係る消費税額の2割を納付税額とする方法になります。仕入税額控除の細かい計算を省ける仕組みです。
とはいえ、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者などは対象外になります。自分が使えるかどうかを、先に確認してください。
登録の判断や2割特例の詳しい要件もあります。Webライター向けのインボイス制度の解説記事で確認しておくと安心です。
まとめ
Webライターの確定申告は、支払調書を待たずに自分で報酬総額と源泉徴収額を集計するところから始まります。
ちなみに、支払調書は発注元に交付義務のない書類なので、届かなくても申告に支障はありません。
売上に計上するのは振込額ではなく、源泉徴収される前の報酬総額にしてください。
そのうえ、帳簿を付けて保存しておけば原則として事業所得に区分され、青色申告特別控除も狙えます。
最初に今年の入金明細をダウンロードして、報酬総額と源泉徴収額を書き出してみましょう。