Webライターの請求書は、共通の10項目を埋めれば完成します。
迷いやすいのは、源泉徴収・消費税・登録番号の3欄だけです。
実は、相手が法人か個人か、自分がインボイス登録済みかで書き方が変わります。
そのため、2点を先に確定させれば手は止まりません。
初めての1枚でも、迷わず仕上げられるでしょう。
請求書の書き方を項目ごとに解説しているので、ぜひ参考にしてください。
請求書の書き方は最初の3つの確認で決まる

請求書の書き方を決めるのは、取引相手・自分の登録状況・指定様式の3点です。
- 取引相手が法人か個人か
- 自分がインボイス登録済みか
- クライアント指定の様式と締め日
具体的には、相手の区分は源泉徴収欄、登録の有無は消費税欄と登録番号欄に直結します。
3つを順に確かめていきましょう。
取引相手が法人か個人かを確認する
取引相手が法人の場合は、請求書に源泉徴収の欄が必要です。
逆に、相手が個人だと、欄そのものが要らないかもしれません。
判断の根拠は、国税庁の源泉徴収義務者とはにあります。
実際、2026年8月時点の記載では、支払者が個人で給与等の支払者でもない場合、原稿料の源泉徴収は不要です。
同様に、常時2人以下の家事使用人にだけ給与を払う個人も、同じ扱いになります。
契約書やメールの署名欄で、相手が法人か個人かを確かめてください。
自分がインボイス登録済みかを確認する
まず確認するのは、自分に登録番号があるかどうかの1点です。
もちろん、適格請求書、いわゆるインボイスを発行できるのは、税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者に限られます。
一方、免税事業者のままなら適格請求書は発行できません。
その結果、その請求書は、交付先の仕入税額控除の対象にならない扱いです。
登録番号を書けるのは、登録が済んでいる方だけになります。
ただし、うろ覚えのまま番号欄を空けておくと、あとから請求書の差し替えになりかねません。
もっとも、ここで確認するのは登録の有無だけで十分です。
制度の細かい要件まで調べなくても、1枚の請求書は作れるでしょう。
クライアント指定の様式と締め日を確認する
クライアントから請求書のひな形が送られてくることがあります。
ひな形の指定があるときは、自分のテンプレートより、渡された様式を優先してください。
なぜなら、先方の経理の処理が、その様式を前提に組まれているからです。
形式が違えば確認に手間がかかり、入金が遅れかねません。
あわせて、締め日と提出先のメールアドレスも聞いておきましょう。
そのため、締め日が月末か月中かで、請求書を送るタイミングが変わります。
つまり、必要な記載事項を満たしたうえで指定の形に合わせるのが、最短の作り方です。
Webライターの請求書に必要な10項目

請求書に書く項目は、相手が誰でも変わらない10個になります。
最初に全体像を表で押さえてください。
なお、金額は「記事執筆費3本・単価8,000円」の例でそろえました。
| 項目 | 記載例 | 間違えやすい点 |
|---|---|---|
| 1.宛先 | 株式会社〇〇御中 | 敬称の重複 |
| 2.自分の氏名・連絡先 | 山田太郎/東京都〇〇区〇〇 | メールアドレスの抜け |
| 3.発行日 | 2026年8月31日 | 納品日とずれる |
| 4.請求書番号 | 2026-001 | 番号の重複 |
| 5.品目 | 記事執筆費(〇〇の記事) | 「一式」で済ませる |
| 6.数量・単価 | 3本/単価8,000円 | 契約と単位が違う |
| 7.小計 | 24,000円 | 税込と税抜の混在 |
| 8.消費税額 | 2,400円 | 登録状況で要否が変わる |
| 9.源泉徴収税額・差引請求額 | 2,450円/23,950円 | 引く順序の誤り |
| 10.振込先口座・支払期日 | 〇〇銀行〇〇支店/2026年9月30日 | 口座名義カナの漏れ |
※2026年8月時点の記載例です。税率や制度は改定されることがあります。
上から順に、どのクライアントでも共通する10項目の書き方と落とし穴を確認していきましょう。
宛先の会社名と担当者名
宛先を書く場所は、請求書の左上です。
まず、会社名は「(株)」と略さず、正式名称で記載してください。
なお、部署名と担当者名も入れると、社内で回りやすくなります。
気をつけたいのは、敬称の重ね方です。
具体的には、会社や部署あてには「御中」、個人あてには「様」を使い分けます。
「御中」と「様」を重ねて書くのは誤りなので、担当者名まで書くときは「様」だけにしてください。
自分の氏名・住所・連絡先
書き込むのは、氏名・住所・メールアドレスの3つです。
ちなみに、屋号がある方は、氏名の前に添えてかまいません。
押印を入れるかどうかは、取引先の指定に合わせてください。
もう一つ、連絡先は当日中に気づけるものを選びましょう。
というのも、金額の確認が、支払日の直前に飛んでくることもあるからです。
連絡がつかないまま処理が止まると、入金が翌月に回るおそれもあるので気をつけましょう。
発行日と請求書番号
発行日とは、請求書を作成した日付のことです。
したがって、月末締めの契約なら、納品月の末日で日付を合わせます。
請求書番号は、自分で連番を振ってかまいません。
たとえば「2026-001」と年+通し番号にすると、あとから探す手間が減ります。
番号は重複させず、一度決めた形式を変えないのが管理のコツです。
さらに、控えを月ごとに並べておけば、確定申告のときの突き合わせも早く済むでしょう。
品目・数量・単価の書き方
記事執筆費3本・単価8,000円なら、金額は24,000円です。
そのうえで、品目は「記事執筆費」だけで終わらせず、記事タイトルや案件名を添えます。
また、数量は「3本」「10,000文字」など契約で使った単位に合わせてください。
たとえば、文字単価の案件は、文字数×単価の形に分解すると伝わりやすくなるでしょう。
「Web記事作成一式」とまとめる書き方は避けるのが無難です。
その結果、何の対価か読み取れないと、経理側で差し戻されることもあります。
小計と消費税額の欄
消費税の欄は、誰もが埋めるものではありません。
はじめに、小計に税抜の合計を書き、その下へ消費税額を並べます。
例なら小計24,000円、消費税2,400円という順です。
そのうえで、金額は、小計→消費税→源泉徴収の順に並べます。
反面、税込金額だけの記載は、相手側で割り戻す手間のもとです。
この欄を書くかどうかは、自分の登録状況で変わります。
位置と順序を押さえておいてください。
源泉徴収税額と差引請求額
源泉徴収の欄は、消費税額の下に置きます。
税率は、支払金額100万円以下の部分で10.21%です。
具体的には、例の24,000円なら、源泉徴収税額は2,450円になります。
差引請求額には、24,000円+2,400円-2,450円の23,950円を記入してください。
小計→消費税→源泉徴収の順で引かないと、振込額がずれる点に気をつけましょう。
実は、相手が源泉徴収するかどうかは発注元の種類で決まります。
発注元が法人か個人かを確かめてから、この欄を埋めてください。
振込先口座と振込手数料の扱い
銀行名・支店名・口座種別・口座番号・名義がそろっていないと、振込はできません。
名義は通帳どおりのカタカナで書いてください。
ちなみに、ネット銀行では、支店名が「〇〇支店」ではなく数字のことも珍しくありません。
もう一点、振込手数料をどちらが負担するかは契約時に決めておきましょう。
手数料を差し引いて入金する取り決めなら、その旨を備考に残すと行き違いが減ります。
あとから交渉すると、やり取りが増えるので先に確認してください。
支払期日と備考欄
ところが、月末に納品しても、入金は翌月末になるケースもあります。
だからこそ、支払期日は契約で決めた日付をそのまま書き入れてください。
最後に、備考欄には、案件名や納品日、修正対応の有無などを短く添えます。
やり取りが月をまたいだときも、一行あるだけで経理側が照合しやすくなるでしょう。
もっとも、備考は空欄でも請求書として成立します。
いずれにせよ、書けるなら書く、という位置づけで問題はありません。
源泉徴収は相手が法人なら10.21%を引く

請求書の源泉徴収欄は、相手が源泉徴収義務者かどうかで決まります。
発注元が法人なら、報酬から10.21%を引いた額を記載してください。
引く金額の出し方と、引かれた税金のゆくえを順に確認しましょう。
支払金額100万円以下は10.21%で計算する
はじめに、支払金額100万円以下の部分は、10.21%で計算します。
内訳は所得税10%と復興特別所得税0.21%です。
2026年8月時点の国税庁No.2795 原稿料や講演料等を支払ったときでも、同じ税率が案内されています。
試しに、3万円と5万円の報酬で見てみましょう。
| 報酬額 | 源泉徴収税額 | 差引後の受取額 |
|---|---|---|
| 30,000円 | 3,063円 | 26,937円 |
| 50,000円 | 5,105円 | 44,895円 |
なお、100万円を超える部分は、税率が20.42%に上がります。
税額は「(支払金額-100万円)×20.42%+102,100円」で求めてください。
相手が個人なら差し引かない場合がある
逆に、相手が個人の場合は、源泉徴収をしないケースがあります。
報酬の支払者が個人であり、かつ給与等の支払者でないときです。
同様に、常時2人以下の家事使用人にしか給与を払っていない方も、同じ扱いになります。
原稿料等について源泉徴収は不要と示しているのが、前述の国税庁「No.2793 源泉徴収義務者とは」のページです。
一方で、すべてのライターの請求書に源泉徴収欄が必要という説明は誤りになります。
したがって、個人の方から直接依頼を受けたときは、請求書を作る前に発注元の区分を確かめてください。
引かれた税額は確定申告で精算する
振込額が請求額より少なくて戸惑うことがあります。
この場合、差し引かれた10.21%は、所得税の前払いにあたるお金です。
1年分の所得を確定申告でまとめると、納めすぎた分は精算されます。
ただし、支払調書は交付が義務づけられていないので、届かない前提で控えをそろえておきましょう。
申告の具体的な手順は、Webライターの確定申告のやり方で確認してください。
消費税欄はインボイス登録の有無で書き分ける

消費税欄の書き方は、インボイス登録の有無で2通りに分かれます。
登録済みの方は、登録番号と税率ごとの金額を書き入れてください。
未登録のままなら、適格請求書としては扱われません。
自分がどちらの立場かを確認し、そのうえで欄を埋めていきましょう。
登録事業者は登録番号と税率ごとの額を書く
登録事業者が消費税欄に書くのは、登録番号と税率ごとに区分した消費税額です。
2026年8月時点の国税庁タックスアンサーNo.6625では、適格請求書の記載事項が6つ示されています。
請求書に入れる項目は次のとおりです。
- 発行者の氏名または名称と登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率対象ならその旨)
- 税率ごとに区分した合計対価の額と適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 交付を受ける事業者の氏名または名称
ただし、6項目のうち1つでも抜けると、適格請求書として認められないおそれがあります。
そのため、6項目はテンプレートに固定して入れておきましょう。
免税事業者は適格請求書を発行できない
免税事業者は、適格請求書を発行できません。
なぜなら、発行できるのが、税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者だけだからです。
つまり、免税事業者の請求書は相手の仕入税額控除の対象にならないという扱いになります。
もっとも、控除がすぐにゼロになるわけではありません。
国税庁のインボイス制度の概要には、免税事業者等からの課税仕入れの経過措置が載っています。
仕入税額相当額の一定割合を控除できる仕組みです。
ちなみに、経過措置の期限は、2031年9月末までとされています。
登録していないなら、受注時にその旨を伝えておくと、請求後のやり取りが短く済むでしょう。
消費税を上乗せするかは契約時に確認する
契約書やメールで、報酬が税込か税別かを先に取り決めてください。
免税事業者が消費税相当額を上乗せして記載してよいかは、国税庁の一次情報では明確に確認できません。
そこで実務では、金額の内訳を契約段階で文書に残しておくと安全です。
その結果、あとから解釈が食い違うと、入金額が見積もりより少なくなるおそれがあります。
2割特例は、2026年9月30日を含む課税期間まで適用できる制度です。
いずれにせよ、登録するかどうかは、取引先が仕入税額控除を必要とするかどうかで判断が変わります。
請求書の作り方と送り方の手順

請求書づくりとは、決まった項目をひな形に埋めて、期日までに届けるまでの作業です。
作成から送付までは、大きく4つの工程に分かれます。
- 表計算ソフトのテンプレート
- クラウドの請求書作成ツール
- PDFへの変換
- メールでの送付
作成手段を1つ選び、上から順に進めてください。
表計算ソフトのテンプレートで作る
まず、無料で配布されているテンプレートを1つ選びます。
ExcelでもGoogleスプレッドシートでも、使い慣れたほうで構いません。
さらに、一度自分用に整えておけば、翌月からの手間が大きく減ります。
次の月は、日付と請求金額の差し替えだけで済むでしょう。
気をつけたいのは、欄の不足です。
ところが、配布テンプレートには、源泉徴収税額や登録番号の行が無い場合もあります。
足りない行は自分で足して、毎月コピーして使い回せる形に整えてください。
クラウドの請求書作成ツールで作る
計算や保管の手間を減らしたい場合は、クラウドの請求書作成ツールが向いています。
Misocaなど、オンラインで請求書を作成できるサービスが選択肢です。
この場合、登録番号や源泉徴収の欄が用意されていれば、項目の抜けを防げます。
しかも、金額を入れると税額まで計算するツールなら、電卓は要りません。
反面、プランごとに使える機能や発行できる件数の条件は異なります。
申し込む前に、料金プランと使える機能の範囲を確認しておきましょう。
PDFに変換して改変を防ぐ
表計算ソフトのファイルを、そのまま添付して送るのは避けてください。
受け取った側でセルの数字が書き換わるおそれがあります。
送付前にPDFへ書き出すのが基本です。
- 印刷範囲を確かめ、不要な行や列を消す
- Excelは「名前を付けて保存」で、ファイル形式にPDFを選ぶ
- Googleスプレッドシートは「ファイル」から「ダウンロード」と進み、PDFを選ぶ
書き出したあとは、必ずPDFを開いて中身を見ましょう。
文字の切れや、2ページへのはみ出しが無いかを確認してください。
さらに、ファイル名を「請求書_202608_氏名」のように整えると、相手も探しやすくなるでしょう。
送付メールに書く内容と送るタイミング
送るタイミングは、クライアントが決めた締め日までです。
メールの件名と本文は、次の形をそのまま使えます。
件名:【請求書送付】2026年8月分/山田太郎株式会社〇〇〇〇様いつもお世話になっております。ライターの山田です。8月分の請求書を添付にてお送りいたします。・請求金額:23,950円・お支払期限:2026年9月30日ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
添付するファイルは、PDF1点だけにしてください。
もし専用フォームや郵送の指定があるなら、そちらの手順が先になります。
提出方法の指定があるかどうかは、契約の段階で聞いておきましょう。
送付後は控えを保存して入金を確認する

送付後にやることは、控えの保存と入金確認の2つです。
送った請求書は、PDFで手元に残しましょう。
実は、支払調書は支払者が税務署へ提出する書類です。
ライター本人への交付義務は、法令上ありません。
したがって、届かない前提で考えると、自分の控えが取引を示す記録になります。
提出義務が生じるのは、同一人への年間支払額が5万円を超えた場合です。
支払期日が来たら、入金の有無を確認してください。
ところが、期日を過ぎても振り込まれないことがあります。
そのときは、送付済み請求書の写しを添えて事務的に連絡しましょう。
まとめ:確認3点を先に済ませて請求書を作ろう

請求書づくりは、3つの確認で終わります。
はじめに、共通の10項目は、どの相手でも変わりません。
次に、源泉徴収欄は相手が法人か個人かで決まります。
消費税欄を左右するのは、自分がインボイス登録済みかどうかです。
3点が固まれば、テンプレートを上から埋めるだけで1枚が仕上がります。
いずれにせよ、相手の属性と自分の登録状況が分かれば、残りは事務作業だけです。
今日の案件の契約書を開いて、相手が法人か個人かを確認するところから始めましょう。