Webライターの校正は、4層に分かれます。依頼内容とレギュレーション、事実と法令、文章、表記と誤字です。手戻りの重い順に確認すれば、限られた時間でも差し戻しはほぼ防げます。
ところが、誤字脱字から見はじめてはいけません。薬機法や景品表示法にふれる表現を見落としがちです。その結果、記事全体の書き直しにつながりかねません。
納品前に使える校正チェックリストを、4層の順に解説しています。ぜひ参考にしてみましょう。
校正は手戻りの重い順に4層で確認する

校正は、手戻りが重い順に4層で確認してください。
誤字脱字の修正は最後で問題ありません。先に潰すほど修正コストが下がる順番で並べたのが次の表です。
| 層 | 確認する内容 | 見落としたときに起こること | 担当 |
|---|---|---|---|
| 第1層 | 依頼内容とレギュレーション | 記事全体の書き直し | 人 |
| 第2層 | 事実と法令 | 公開後の修正・取り下げ | 人 |
| 第3層 | 文章と読みやすさ | 広範囲の赤入れ | 人+ツール |
| 第4層 | 表記と誤字脱字 | 部分的な直しで済む | ツール中心 |
そのため、4層を上から順に潰すほど修正の手戻りは小さく収まります。
なお、校正・校閲・推敲の違いは「校正と校閲の違い」を扱った記事で確認してください。
第1層:依頼内容とレギュレーションの確認項目

依頼どおりに書けているかは、5点を指定と突き合わせれば確認できます。構成・文字数・キーワード・表記ルール・入稿形式です。
ところが、指定を外すと、内容が良くても全面書き直しになるので、校正は第1層から始めましょう。
構成案の見出しと順序どおりに書けているか
構成案と原稿を並べて、見出しの文言と順番を1つずつ突き合わせてください。
見出しを勝手に足したり削ったりすると、メディア側の記事設計そのものが崩れます。
実は、書いているうちに話が広がります。構成案にない見出しを追加してしまう例も珍しくありません。
そのため、入れたい要素が出てきたときは、自己判断で加えずに担当者へ確認しましょう。
- 見出しの文言が構成案と一致しているか
- 見出しの順番が入れ替わっていないか
- 無断で追加・削除した見出しがないか
3点をそのままメモに写して、提出前に順に確認してください。
文字数とキーワードの指定を満たしているか
文字数とキーワードは、感覚に頼らず数えて確かめましょう。
たとえば「5,000字以上」という指定があります。「5,000字前後」なら、許容される幅は別物です。
キーワードは、タイトルや見出しへの含有まで条件が付く場合もあるでしょう。指定文を読み直してください。
不自然に同じ語を並べると、読みにくくなります。指定の回数を満たしつつ自然に配置する形を目指しましょう。
- 本文の文字数が指定の範囲に収まっているか
- 対策キーワードが指定の回数と箇所に入っているか
- 表記ゆれで別の語になっていないか
いずれにせよ、文字数もキーワードも提出前に数値で確かめられる項目です。
メディアの表記ルールに沿っているか
次に、表記ルールは案件のレギュレーションを最優先で照合してください。
漢字とひらがなの使い分けには、公的なよりどころがあります。2010年の内閣告示第2号として告示された常用漢字表です。
また、送り仮名にも公的な基準があります。昭和48年内閣告示第2号の「送り仮名の付け方」が公用文でのよりどころです。
ただし案件では、公的な基準よりメディアのレギュレーションが優先します。
- レギュレーションで指定された語の表記を守れているか
- 指定のない語が常用漢字表や送り仮名の付け方に沿っているか
- 数字や記号の全角・半角が統一されているか
迷った語は、まずレギュレーションに記載があるかどうかから見ましょう。
画像・リンク・入稿形式の指定を守れているか
納品直前は、画像とリンク、入稿形式の3点を指定と突き合わせます。
画像は枚数や挿入位置のほか、出典の書き方まで決まっている場合もあるでしょう。指定文を読み返してください。
リンクは、本数やアンカーテキストの条件を外すと、編集側で貼り直す手間が発生します。
また、入稿先やファイル形式、ファイル名の付け方も指示どおりに整えましょう。
- 画像の枚数・挿入位置・出典表記が指定どおりか
- リンクの本数とアンカーテキストが条件に沿っているか
- 入稿先とファイル形式、ファイル名を守れているか
いずれにせよ、書き上げた安心感で抜けやすい部分です。送信ボタンを押す前に、もう一度確認してください。
第2層:事実と法令の確認項目

内容の正しさは、数字と固有名詞の出典確認から法令に触れる表現の点検までが範囲です。
文章の巧拙を見る前に事実と法律の層を潰しておくと、公開後の修正依頼を避けられます。
数字と固有名詞を一次情報で確認したか
数字と固有名詞は、発表元の一次情報にあたって一つずつ照合してください。
もっとも、一次情報にあたれない数字は書かない選択も含めて扱いを決めましょう。
ところが、まとめサイトや他社記事を写してはいけません。元の数値が古かったり、単位や年度がずれたまま引き継がれたりします。
統計は官公庁の公表資料、社名や商品名は公式サイトで確かめましょう。確認先を先に決めておくと迷いません。
そのうえ、漢字表記や英字の大文字小文字まで公式の記載に合わせましょう。固有名詞の誤りが減ります。
確認の具体的な手順は、Webライターのファクトチェックのやり方が参考になるでしょう。
出典と参照した時点を示しているか
はじめに、参照した資料は出典名と参照した時点をセットで示すのが基本です。
同じ統計でも、更新のたびに数値が変わります。時点の表示がないと、読者は情報の新しさを判断できません。
たとえば「2025年7月時点」のように書きます。確認した時期か参照元の記事の公開日を、書き添えてください。
なお、更新日が明記された公的資料なら、公表年月をそのまま添えるだけで十分です。
数値の動きが速いテーマほど、時点の明記が効いてきます。「古い情報を載せた記事」という誤解を防いでくれるでしょう。
閲覧日の注釈を段落の途中へ差し込むと、読みづらくなります。表を使う場合は、表の直下にまとめましょう。
薬機法に触れる効果の表現を使っていないか
化粧品や健康食品、医療機器を扱う記事では、効能効果の表現を薬機法の基準で点検してください。
なお、薬機法第66条は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品を対象とした条文です。
名称や製造方法、効能、効果、性能について、明示的か暗示的かを問わず虚偽・誇大な記述を禁止しています。
たとえば「シミが消える」「飲むだけで痩せる」といった書き方でしょう。暗示であっても対象になり得るので、注意してください。
むしろ、販売元の説明文をそのまま流用せず、確認できる事実の範囲まで表現を戻しましょう。
景品表示法に触れる断定やNo.1表示はないか
「No.1」「日本一」のような優位性の表示もあります。根拠となる調査の中身まで確かめてから使ってください。
ちなみに、消費者庁が2024年9月26日に公表したNo.1表示に関する実態調査報告書が判断の目安になります。
調査対象者が自社の社員や関係者である場合や、調査対象数が統計的な客観性を欠く場合は、優良誤認表示となるおそれがあるという指摘です。
実際に2024年2月末から3月中旬までの約2週間で、No.1広告を掲出していた12社へ措置命令が出ています。その事実も押さえておいてください。
いずれにせよ、前述の調査を踏まえると、調査の主体・対象・期間まで示せないNo.1表示は使わない判断が安全です。
引用の範囲と出典表記は適切か
引用は、自分の文章が主で引用が従という関係を保ちます。範囲をはっきり区切るのが基本です。
また、かぎ括弧や引用ブロックで囲まずに地の文へ混ぜてはいけません。どこまでが他者の文章か、読者には伝わらないでしょう。
そのうえ、引用の目的が説明のために必要な範囲におさまっているかも掲載前の確認事項です。
引用したら、出典名と、必要に応じて公表元のページへのリンクを添えてください。
同じ出典に何度も触れるときは、リンクを初出の1か所だけで足ります。以降は「前述の報告書」のように文中で受けましょう。
引用の量が本文を上回る構成は、記事ではなく転載と見なされかねません。
第3層:文章と読みやすさの確認項目

第3層は、ツールの指摘だけでは判定しきれず、人が読んで初めて分かる層です。
主述の対応・一文の長さ・文末の連続・見出しと本文の対応という4点があります。そのうえで、書き手ではなく読み手の目で通していきましょう。
主語と述語がねじれていないか
まず、主語と述語のねじれは文の骨格だけを抜き出して読むと見つかります。
実は、一文が長いほどねじれは起きやすく、書いた本人ほど気づきにくい箇所です。
修飾語をすべて外し、「何が」「どうする」の2語だけで意味が通るかを確かめてください。
- ビフォー:この記事の目的は、読者が校正の手順を身につけます
- アフター:この記事の目的は、読者が校正の手順を身につけることにあります
主語が「目的は」なら、述語は「〜ことにあります」で受ける形です。対応する語尾へ直しましょう。
一文の長さと段落の区切りは適切か
一文の長さは、読点の重なりと字数で目安をつけられます。
読点が重なって80字を超える文は分割の候補として扱うと、迷いが残りません。
- ビフォー:校正では、まず依頼内容を確認し、次に事実を確かめ、さらに文章を整え、最後に誤字を探す流れになりますが、時間がないときは順番が崩れがちです
- アフター:校正は、依頼内容・事実・文章・誤字の順に進めます/時間がないときほど、順番が崩れやすくなります
そのため、スマホでは1段落が長いほど文字が詰まって見えます。2文を超えたら、段落も切りましょう。
同じ文末表現が続いていないか
次に、文末は2文続けて同じ形にしないという基準で確認してください。
「です」「ます」「ください」「ましょう」を回して使いましょう。その結果、単調さが消えて読むリズムも整います。
- ビフォー:事実を確認します/出典を控えます/リンクを貼ります
- アフター:事実を確認します/出典は必ず控えてください/リンクは初出の1か所だけで足ります
同じ文末が続く箇所は、文章が単調に見えるので、語尾だけでなく文の構造ごと組み替えましょう。
見出しと本文の内容が対応しているか
見出しと本文の対応は、見出しを問いに変換し、本文の1文目が答えになっているかで判定します。
見出しが「表記ゆれの直し方」なら、1文目は直す手段そのものを返す形にしてください。
- ビフォー:表記ゆれは、読者の信頼を損なう要因のひとつです
- アフター:表記ゆれは、レギュレーションの用語表を基準に一括置換で直します
一方、見出しの問いと無関係な説明が続く箇所もあります。本文を削るか、見出しの側を実際の中身へ書き換えて合わせましょう。
第4層:表記と誤字脱字の確認項目

表記と誤字脱字は、漢字とひらがなの使い分け・送り仮名・全角半角・句読点の4点にしぼって確認します。
機械的に潰せるうえ、見落としても手戻りが最も軽い層なので、校正の最後に回してください。
続いて、4つの項目を順にそろえて原稿の仕上がりを整えていきましょう。
誤字脱字と変換ミスが残っていないか
誤字脱字の確認は、書き終えた直後ではなく時間を置いてから行ってください。
変換ミスは文字そのものが正しく、意味も通ってしまいます。通読しただけでは、素通りしがちです。
「保証」と「保障」のように、同音異義語は変換候補を選び間違えても違和感が出ません。
さらに、脱字や助詞の重複も文の途中にひっそり残りやすい誤りです。
加えて、社名・商品名・人名は公式サイトの表記と一字ずつ突き合わせましょう。
固有名詞の誤字は、内容以前の信用問題になります。提出前に、もう一度読み直しましょう。
漢字とひらがな・送り仮名がそろっているか
次に、漢字とひらがなの使い分けは公的な基準を軸に決めてください。
常用漢字表は2010年11月30日に内閣告示され、2,136字が定められています。
同じく、送り仮名については昭和48年内閣告示の「送り仮名の付け方」が公用文のよりどころです。
「行う」と「行なう」のような揺れは、記事全体で一方に決めれば読み手が迷いません。
常用漢字表にない字はひらがなにするなど、自分の中の基準を先に決めておきましょう。
ただし、媒体のレギュレーションに指定がある場合は、指定された表記を優先してください。
数字と英字の全角半角がそろっているか
数字と英字は、半角と全角のどちらかに決めて、記事全体でそろえます。
「3つ」と「3つ」、「Web」と「Web」の混在は、雑な原稿に見えてしまう原因です。その点に注意してください。
判断の基準はレギュレーションで、指定がなければ半角に寄せるのが一般的です。
ちなみに、入力の途中で全角に切り替わった数字は目視で気づきにくくなります。検索置換で、洗い出しましょう。
さらに、単位や記号も「%」と「%」のように同じ文字種でそろえておくと、後工程の修正が減ります。
英字の大文字・小文字も、公式表記に合わせて確認しましょう。
句読点と記号の使い方は統一されているか
読点と記号は判断の拠り所を一つ決めてから、全体を見直してください。
2022年1月に文化審議会が建議した「公用文作成の考え方」では、横書き文書の読点は原則「、」を用いると示されました。
ちなみに、同月に内閣官房長官から各国務大臣へ周知され、昭和26年の要領から約70年ぶりの見直しとなった指針です。
加えて、カギカッコや中黒、三点リーダーの使い方も記事内で不ぞろいにならないよう見直しましょう。
第4層は、表記ゆれや記号の統一をツールで一括処理できます。人の目は、前の3層に回してください。
校正ツールに任せられる範囲はどこまでか

校正ツールを導入しても、チェックリストは不要になりません。ツールが担えるのは第4層の表記・誤字と第3層の一部までです。
したがって、依頼内容の確認と事実・法令の判断は人の仕事になるので、役割を分けて使ってください。
ツールが検出できるのは表記と誤字の層まで
校正ツールが得意なのは、ルールとパターンで判定できる誤字脱字・表記ゆれ・読みやすさの検出です。
はじめに、Shodoは無料プランでも誤字脱字や敬語のチェック、表記ゆれの検出に対応しています。
同じく、文賢のAIアシストも機能の中心は誤字脱字・表記ゆれ・読みやすさの指摘です。
4層のうちツールが肩代わりできるのは、第4層の表記と誤字、そして第3層の読みやすさの一部までになります。
表記ルールは案件ごとに違うので、何を守らせるかは自分で設定してください。
事実確認と法令判断は人が行う必要がある
一方、書かれた内容が事実かどうか、法令に触れていないかの判断は人が行う領域です。
もっとも、各ツールの公式説明でもパターン検出が機能の中心になります。ファクトチェックまでは、保証されていません。
薬機法第66条は、医薬品や化粧品の効能について、明示的・暗示的を問わず虚偽・誇大な広告を禁止しています。
誇大にあたるかは、前後の文脈や商品の実態で変わるでしょう。原稿ごとに読んで、判断してください。
実は、消費者庁も2024年9月にNo.1表示の実態調査報告書を公表しました。調査対象や項目が公平性を欠く場合は、優良誤認のおそれがあるという指摘です。
無料ツールと有料ツールの使い分け方
無料ツールと有料ツールは、チェックの範囲と作業環境で使い分けると迷いません。
はじめに、Ennoは2013年から運営されている無料の校正支援サービスで、会員登録なしで使えます。
入力したテキストが保存されない仕様です。利用規約やプレスリリースのようなフォーマルな原稿にも対応する設計でしょう。
他方、Shodoは無料プランがあり、Word・Chrome拡張・Google Docsで動きます。執筆環境に組み込みたい方に合うでしょう。
文賢は、個人向けプランが1年契約で月額1,650円(税込)です。ルール校正14カテゴリとルール推敲23カテゴリを備えています。
機能ごとの細かい比較は、Webライター向け校正ツールの比較記事も参考になるでしょう。
まとめ:重い順に確認して差し戻しを防ぐ
校正は、依頼内容とレギュレーション、事実と法令、文章、表記と誤字の順に4層で確認してください。
そうすれば、限られた時間でも差し戻しはほぼ防げます。
誤字脱字や表記ゆれはツールに任せ、事実確認と法令の判断は人の目で行うのが分担の基本です。
最後に、指摘を受けた項目は案件ごとにリストへ足し、自分専用のチェックリストへ育てていきましょう。
次の納品前に、第1層の指定の突き合わせから始めてみてください。

