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取材記事の書き方|文字起こしから記事にする手順を解説

取材記事の書き方|文字起こしから記事にする手順を解説

取材記事の書き方|文字起こしから記事にする手順を解説

取材記事の書き方を決めるのは、文章力ではありません。

取材前に決めた軸に沿って素材を捨てられるかで決まります。

書き出す前に、記事の軸と形式を確定させてください。

そのうえで、使う発言を選ぶ順番が有効です。

軸がないまま文字起こしを眺めても、どの発言を使うかは決められません。

しかも話し言葉をどこまで整えてよいかも決まらず、締切だけが迫ります。

取材記事を仕上げる手順は権利面の確認まで解説したので、ぜひ参考にしてください。

取材記事は書き足さず削って作る

取材記事は書き足さず削って作る

取材記事は、書き足して仕上げるものではありません。

集めた素材を削って形にする作業になります。

実は文字起こしを前に手が止まるのは、材料が足りないからではないでしょう。

むしろ使える発言が多すぎて、選べない状態です。

取りかかる順番は、次の3つになります。

  1. 記事の軸を1文で決める
  2. 軸から外れる発言を捨てる
  3. 残った発言で構成を組む

順番を入れ替えると、書きながら迷い続けるでしょう。

だから軸を決めるところから、手をつけてください。

素材は完成原稿の何倍もある

1時間の取材で得られる文字起こしは、完成原稿の何倍もの分量です。

代行業者が挙げる目安は、1時間の音声で1万5千字から2万字になります。

ただし公的なデータではなく現場の経験則という位置づけです。

3,000字の記事に仕上げるなら、集めた素材の大半は使わない計算になります。

全部を活かそうとすると論点が散らばり、誰にも届かない原稿になりかねません。

だから読み返すときは、捨てる前提で目を通しましょう。

記事の軸を1文で書き出す

まずこの記事で読者に何を持ち帰らせるかを1文で書き出すところから始めてください。

たとえば「創業3年の壁をどう越えたか」を主題にします。

「同じ規模の経営者に伝える」と、読者もセットで書いてください。

軸があいまいなままだと、面白い発言をすべて残したくなります。

その結果、話題が並んだだけの原稿になりがちです。

1文に収まらない場合は、論点が2つ以上混ざっているサインになります。

そのため優先する側を、先に選びましょう。

書き出した1文は、メモの先頭に置いてください。

迷ったときの判断基準として使えます。

軸に合わない発言は思い切って捨てる

軸が決まったら、文字起こしを上から読んでください。

そのうえで、軸に関係する発言だけに印を付けます。

判断に迷ったときは、軸の1文に対する答えになっているかで線を引きましょう。

良い話なのに惜しい、と感じる発言も出てきます。

けれども別記事やSNS投稿の素材として、取っておけばよいでしょう。

ところが、もったいないという理由だけで残した発言が記事の主張をぼかします。

印を付けた発言だけを並べ直し、そこから構成を組み立ててください。

取材記事の3つの形式と選び方

取材記事の3つの形式と選び方

取材記事の形式は、対談形式・一人称形式・三人称形式の3つです。主役にするものと、媒体の指定で選びます。

形式向くテーマ発言の扱い方注意点
対談形式人柄・現場の空気ほぼそのまま残す冗長になりやすい
一人称形式本人のメッセージ語り口を保ち再構成書き手の解釈が混ざる
三人称形式事例・実績の紹介要点だけを引用熱量が伝わりにくい

形式は媒体から指定される場合もあるので、発注内容を先に確認してください。

なお形式が固まらないと、載せる発言も並べる順番も決められません。

人柄や臨場感を出すなら対談形式

対談形式とは、質問と答えを交互に並べる書き方のことです。

しかも言いよどみや言い回しの癖まで残せるので、人柄がそのまま伝わります。

たとえば書き出しは、次の形です。

――独立して最初の半年は、どのように過ごしていたのでしょうか。

「正直に言うと、単価はまったく上がりませんでした」

会話の熱量は、そのまま伝わります。

ただし話題が飛ぶと読みにくくなるので、載せる発言は絞り込んでください。

本人のメッセージを届けるなら一人称形式

一人称形式は、取材対象者が読者へ語りかける形にまとめる書き方です。

聞き手の質問は表に出さず、本人の言葉だけで一本の話に組み直します

読者は、本人の独白として受け取るでしょう。

だから主張が1つに絞れるテーマで、力を発揮します。

先ほどの発言なら、書き出しは次のとおりです。

独立して最初の半年、単価はまったく上がりませんでした。

メッセージは、強く届くはずです。

反面、書き手の解釈が本人の言葉として残るおそれもあります。

そのため原稿の確認方法まで、決めておきましょう。

客観性を持たせるなら三人称形式

三人称形式では、書き手が第三者の視点で事実と発言をまとめます。

発言は、要点だけの引用です。

さらに地の文で背景や実績を補える点が強みになります。

同じ発言も、書き出しでは次のように置き換わるでしょう。

独立から半年、Aさんの単価は伸び悩んだ。

たとえば導入事例やレポートのように、複数の情報を1本へ束ねる記事に向きます。

客観性は、しっかり出るでしょう。

一方で本人の熱量は伝わりにくくなるので、引用する一言を厳選してください。

文字起こしから構成を作る手順

文字起こしから構成を作る手順

手順は、意味ごとの切り分け、伝えたい順への並べ替え、見出し化の3段階です。

ところが録音の順番のまま書き進めると、論点が散らばったまま固まります。

そのうえ3段階に不足情報の確認も加えて、集めた素材を記事の形に組み直しましょう。

発言を意味のまとまりごとに切り分ける

まず発言を、話題の変わり目で切ってください。

切り分けの単位は、発言の長さではなく話題です。

「最初は3人で始めて、あ、その前に前職の話をすると」を例にします。

創業時の体制と前職の経緯、2つの話題が混ざった状態です。

録音の一続きを1ブロックとして扱うと、後で並べ替えができません。

そのため話題が変わった箇所で切ってください。

切り分けたまとまりごとに、短いラベルを付けましょう。

「創業のきっかけ」「1年目の失敗」といった形で、素材が一覧できます。

なおラベルを見て記事の軸に関係しないまとまりは、この時点で外してください。

そうすれば後の作業が、軽くなります。

時系列ではなく伝えたい順に並べ替える

並べ替えの基準は、取材で話した順ではなく読者が知りたい順です。

もちろん取材では、話が前後するのが普通になります。

しかも記事の軸に当たる発言が、終盤にようやく出てくることも珍しくありません。

録音の順番のまま並べると、前置きばかりが続きます。

その結果、読者は結論にたどり着く前に離れてしまうでしょう。

軸に最も近いまとまりを先頭に置き、その根拠となるエピソードを後ろに続けるのが基本です。

時系列のまま構成してよいのは、経歴の変化そのものが軸のときだけになります。

見出しは発言の要点から立てる

見出しは、切り分けたまとまりの要点を短い一文にしてください。

作業用に付けたラベルは、自分が思い出すための目印です。

けれどもそのままでは、読者に中身が伝わりません。

「1年目の失敗」というラベルを、例に取ります。

「在庫を抱えて資金が回らなくなった1年目」と直しましょう。

つまり発言に出た具体的な語を、残すのがコツです。

見出しだけを拾い読みしても話の流れがわかるなら、構成は完成に近づきます。

なお表現や並べ方を詰めたい場合は、構成案の作り方を参考にしましょう。

足りない情報は追加で確認して埋める

構成を組む途中で素材の不足に気づいても、取材をやり直す必要はありません。

ちなみに不足しやすいのは、数字、固有名詞、エピソードの結末の3点です。

不足箇所を箇条書きにしてメールで追加質問を送れば埋められるようになります。

よって書き直しではなく、確認で解決しましょう。

全体の並びができてから質問すると、何を聞くべきかが明確になります。

加えてやり取りも、短く済むでしょう。

むしろわからない部分を推測で埋めるのは、避けてください。

取材相手の回答を待ってから、原稿に反映しましょう。

取材相手の言葉はそのまま書くべき?

取材相手の言葉はそのまま書くべき?

そのまま書くべきか迷ったときは、読みやすさのための整理は可と考えてください。

一方、意味が変わる書き換えは不可になります。

要するに話し言葉の整理と発言内容の改変は別物です。

その境界を、書き換え例で確認しましょう。

言い淀みや重複を整えるのは問題ない

言い淀みや重複、語順の乱れを整える作業は、通常の編集の範囲です。

もちろん話し言葉には、同じ語の言い直しやフィラーが混ざります。

ゆえに録音のまま起こすと、発言の芯が見えません。

ビフォー:えーっと、やっぱり最初は、その、価格が、価格の面がネックでしたね

アフター:最初は価格の面がネックでした

いずれにせよ削っても意味が変わらない要素だけを落とす、と線を引いてください。

同じく読点や句点を足して一文を短く切る作業も、この範囲に入ります。

意味が変わる書き換えはしてはいけない

発言していない内容を足す書き換えは、してはいけません。

同様に断定の強さを変える言い換えも、避けてください。

ビフォー:検討はしていますが、導入時期は決まっていません

NG例:来期には導入する予定です

時期を言い切る形に直すのは、本人が話していない事実を作る改変にあたります。

もっともある程度の分量があり個性が表れた談話は、言語の著作物にあたるでしょう。

実は表現の主体は、取材相手の側にもあります。

したがって意味を補う修正は、本人の確認を取ってから行いましょう。

本人らしい言い回しはあえて残す

本人らしい言い回しとは、口癖や比喩、独特のたとえのことです。

読みにくくならない範囲で、そのまま残しましょう。

ところが言い回しを平均的な表現にそろえると、誰が話しても同じ記事になります。

その結果、取材した価値が薄れるでしょう。

「段取り八分ですわ」を「準備が大切です」と直すとします。

人柄という一次情報を消す整理そのものです。

ただし敬語や語尾、方言をどこまで残すかは、媒体のトンマナに従ってください。

実は表記ルールが決まっている媒体もあるので、初稿の前に確認しておきましょう。

公開前に確認する権利とルール

公開前に確認する権利とルール

公開前に確認しておくのは、次の4点です。

  • 発言と写真の使用範囲
  • 引用の6要件
  • PR記事の広告表示
  • 原稿の事前確認

入稿してから慌てないよう、書き上げた段階で1つずつ確認してください。

発言と写真の使用範囲を確認する

個人情報の扱いは、個人情報保護委員会の解説が基準になります。

発言と写真は、どの媒体にどこまで使うかを取材の場で合意しておくのが基本です。

もっともある程度の分量があり、話し手の個性が表れた発言もあります。

「言語の著作物」に当たる場合もあるでしょう。

ちなみにSMAPインタビュー事件(東京地裁平成10年10月29日判決)があります。

文書作成への関与の態様や程度が、判断の分かれ目です。

口述者が共同著作者となる場合がある、と判示されました。

一方の肖像権には、法令上の明文規定がありません。

よって判例の蓄積をもとに、総合的に判断されます。

いずれにせよ掲載媒体、転載の可否、SNSでの使用まで含めて記録に残しましょう。

引用は6つの要件を守って行う

他社の記事や公的資料は、著作権法第32条の要件を満たして使ってください。

2026年8月24日時点の説明は、文化庁の著作権施策のページにあります。

適法な引用と認められる要件は、次の6つです。

  • 公表された著作物であること
  • 本文と引用部分が明瞭に区分されていること
  • 引用する側の記事が主、引用部分が従の関係にあること
  • 引用の必然性があること
  • 内容を改変しないこと
  • 出所を明示すること

もちろん発言の要約を引用扱いすると、無改変の要件から外れます。

また複製による引用では、出所明示は著作権法上の必須要件です。

したがって出典の記載を、省かないようにしましょう。

PR記事は広告と分かる表示にする

PR案件で書くときは、読者が広告だと判別できる表示を記事の中に入れてください。

さらに景品表示法にもとづくステルスマーケティング規制があります。

施行は、2023年10月1日からです。

規制の対象になるのは、商品やサービスを供給する事業者、つまり広告主になります。

依頼を受けた第三者は、対象外です。

とはいえ表示の設計に関わるのは、原稿を書く側になります。

最後に「PR」「広告」の表記を入れるかどうか、編集者へ確認しましょう。

原稿の事前確認は義務ではないが有効

原稿確認は、メディア側の法的な義務ではなく、あくまで業界の商慣行です。

取材条件は、書面で残しておきましょう。

ちなみに公正取引委員会のフリーランスの取引適正化に向けた取組が参考になります。

記事の著作権は、制作側にあるとされる立場です。

取材対象者に内容を確認させる義務までは、課されていません。

けれども数値や社名、役職の表記の誤りは、書き手だけでは気づきにくいでしょう。

ゆえに確認を依頼すると、記事の精度が上がります。

依頼するときは、応じる範囲は事実誤認の訂正が基本と先に伝えてください。

表現や構成の全面的な書き換え要求とは、切り分けておきましょう。

次の取材は準備で執筆時間を短くできる

次の取材は準備で執筆時間を短くできる

執筆時間は、取材前に軸と仮の構成をどこまで決めておけるかで決まります。

今回の執筆で発言を捨てきれずに迷ったなら、原因は文章力ではありません。

むしろ準備の不足です。

続いて次の取材から取り入れたい準備を3つ挙げるので、順番に確認しましょう。

取材前に記事の軸を決めておく

記事の軸は、取材が終わってからではなく依頼を受けた段階で決めてください。

軸とは、読者が記事を読み終えたあとに持ち帰る一つの答えのことです。

そうすれば軸が先にある分、使う発言と使わない発言をその場で仕分けられます。

反面、取材後へ先送りすると録音を聞き直して軸を探す時間が上乗せされるでしょう。

軸は「どんな読者が何をできるようになるか」の一文にします。

加えて編集者とも、共有しておいてください。

もっとも方向性のずれは、原稿の全面的な書き直しという形で最後に返ってきます。

仮の構成から質問リストを作る

まず取材前に、見出しだけの仮構成を書いてください。

質問リストは聞きたいことの列挙ではありません。

仮の構成の空欄を埋める質問として作ります。

そこに入る発言を、空欄にしておくのが近道です。

逆に空欄が埋まらないまま取材を終えると、書く段階で素材不足に気づきます。

さらに対談形式・一人称形式・三人称形式のどれで書くかも、仮で決めましょう。

依頼から取材までの日数や質問リストの事前送付に、業界標準の規定はありません。

媒体ごとに幅があるので、担当編集の慣行に合わせて動いてください。

加えて仮構成の組み立て方そのものは、SEO記事の書き方でも解説しました。

録音と撮影の許可を先に取っておく

録音と撮影の許可は、取材の冒頭で口頭で取ってください。

同じく承諾のやり取りも、録音に残しましょう。

個人情報保護法上、録音を相手に告知する法的義務は明確に定められていません

他方、取得した個人情報の利用目的の通知・公表は個人情報取扱事業者の義務です。

掲載媒体と使用範囲まで伝えて、許可を取ってください。

そうすれば公開直前の差し替えを、避けられます。

録音データの扱いと書き起こしの効率化は、文字起こしとAI活用も確認してください。

まとめ

まとめ

取材記事の出来は、書く前に決めた軸で素材を捨てられるかで決まります。

文章力を磨くより、軸を先に立てるほうが原稿は安定するでしょう。

したがってこの順番を、守ってください。

そのあと軸に沿って発言を削り、読者に伝えたい順へ並べ替えます。

出稿前には、引用の出所明示や録音・写真の扱いの確認も済ませておくと安心です。

最後に文字起こしを開いて、記事の軸を1文で書き出してみましょう。

取材記事の書き方|文字起こしから記事にする手順を解説
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