Webライターが文章力を上げる最短の道は、才能や語彙を増やすことではありません。
自分の文章の崩れている箇所を特定して直すことが近道です。
たとえば修正依頼が多い、執筆に時間がかかる、単価が上がらないという結果が出ます。
つまり才能の差ではなく、型の崩れから生まれた結果です。
崩れは後から直せるので、指摘が減る順に手を入れましょう。
崩れを見つける基準と直す順番を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
Webライターの文章力は直す順番で決まる

Webライターの文章力は、才能や語彙ではなく直せる型の問題です。
むしろ上手い文章を目指すよりも、崩れている箇所を特定するほうが早く伸びます。
まず直していく順番は、次のとおりです。
- 自分の文章の弱点を特定する
- 文単位の崩れを直す
- 記事単位の構成を直す
- 直した型を続ける
NN/Gの調査では、新しいページを訪れた方の79%がスキャンしていました。
精読した方は16%にとどまりました(NN/G)。
だから評価されるのは美しい表現ではなく、飛ばし読みされても意味が通る構造です。
自分に当てはまる箇所から、読み進めてください。
自分の文章の弱点を見つける方法

弱点は、受けた修正指示の分類と、数値と見出しの点検で特定できます。
ところが感覚で読み返しても、崩れている箇所は見つかりません。
点検の手立ては、3つです。
修正指示の仕分け、一文の長さと文末の点検、見出しだけの通し読みになります。
まず上から順に、試しましょう。
受けた修正指示を種類別に分ける
クライアントから受けた修正指示は、原因の型に置き換えてください。
抽象的な言葉のまま、受け取ってはいけません。
たとえば「読みにくい」「もっと分かりやすく」といった指摘です。
文の構造・情報の順序・事実の不足のどれかに落ちます。
| 受けた指示 | 実際の原因 | 直す対象 |
|---|---|---|
| 読みにくい | 文の構造 | 一文の長さ、文末の重複 |
| 話が飛ぶ | 情報の順序 | 結論と見出しの位置 |
| 内容が薄い | 事実の不足 | 数値と出典の有無 |
そのうえで指摘を1件ずつ当てはめれば、直す対象は3つに決まるはずです。
一文の長さと文末の重複を数える
一文の長さは、記事を貼り付けて句点ごとに数えるだけで測れます。
- 記事本文をコピーして句点で改行する
- 一文ごとの文字数を数える
- 60字を超えた文に印を付ける
- 印の付いた文の前後で、文末が同じ形で並んでいないか見る
なお文化庁『公用文作成の考え方』が示すのは、次の目安です。
50〜60字程度になってきたら読みにくくなっていないか意識するという合図になります。
ただし60字を超えた文を機械的に切るための上限ではありません。
むしろ印は、疑う目印として扱いましょう。
見出しだけを読んで意味が通るか確かめる
まず見出しだけを上から続けて読み、記事の答えが分かるか確かめてください。
本文を読まないと意味が取れない見出しが並ぶとします。
その場合は崩れているのは文章ではなく情報の順序です。
同じ調査でも、新しいページを訪れた方の多くが斜め読みしていました。
つまり見出しと冒頭の一文で、読み進むかが決まる形です。
見出しだけで筋が通る並びに、組み替えましょう。
修正依頼が減る一文の書き方

修正依頼を減らす最短の道は、一文に入れる情報を一つに絞ることです。
そのうえで語順とねじれを、整えてください。
なお語彙や表現力を鍛える前に、文の型から直すほうが指摘は減らせます。
一文一義・長さ・ねじれ・語順・文末の五つで、原稿を点検しましょう。
一文に入れる情報を一つに絞る
一文一義とは、一つの文に一つの内容だけを書く書き方のことです。
同様に文化庁の「公用文作成の考え方」も、同じ方針を示しました。
文の論点は一つにし、話題が変わるところで文を区切るという中身です。
修正前:この案件は単価が高く専門知識も必要ですが、継続前提なので初心者でも取り組めます。
修正後:この案件は単価が高く、専門知識も必要です。ただし継続前提なので、初心者でも取り組めます。
ところが一文に二つの話題が同居すると、読み手は主張を判断できません。
その結果、確認の質問が返ってくるでしょう。
話題が切り替わる地点を見つけ、句点で区切ってください。
一文が長いと感じたら区切る
文字数の上限を決める必要はありません。
むしろ長いと感じた時点で読み返すという基準を持ってください。
文化庁の指針が示すのは、50〜60字程度という目安です。
そのため、そこを超えたら読みにくくなっていないか意識しましょう。
修正前:Webライターの文章力は語彙力の問題だと思われがちですが、実際には型の問題であり、修正依頼が減る順に直せば短期間でも改善できます。
修正後:Webライターの文章力は、語彙力の問題だと思われがちです。
けれども実際には型の問題であり、修正依頼が減る順に直せば改善できます。
さらに読点で息継ぎを二回以上している文は、要注意です。
その息継ぎの位置で句点に替えられないか、試してみましょう。
主語と述語のねじれをなくす
修飾語が長い文ほど、主語と述語のねじれは起きやすくなります。
しかも書いた本人には違和感が残らない点が、厄介です。
だから主語と述語だけを抜き出して並べ直す点検を挟んでください。
修正前:この記事の目的は、読者が最短で文章力を上げてほしいと考えています。
修正後:この記事の目的は、読者が最短で文章力を上げられるようにすることです。
主語と述語が一本の線でつながっていれば、差し戻しは起きにくくなります。
そのうえ長い修飾語は後ろに回し、主語と述語を近づけて置きましょう。
語順を「いつ・どこで・誰が・何を」で整える
迷った場合は、いつ・どこで・誰が・何を・どうしたの順に並べ替えると通ります。
ちなみに文化庁の指針が示すのも、同じ考え方です。
修正前:取材メモを、公開の前日に、担当編集へライターが送ります。
「誰が」が最後まで出てこない文だと、読み手は意味を保留したまま進むでしょう。
だから先頭へ、動かしてください。
修正後:ライターは公開の前日に、取材メモを担当編集へ送ります。
いずれにせよ語順を入れ替えるだけなので、書き直しの手間はかかりません。
同じ文末を三回続けない
文末は、同じ種類を三回以上続けないという基準で組み替えてください。
もちろん意味が正しくても、同じ響きが並ぶとします。
読み手に先に届くのは、内容ではなくリズムの粗さです。
「単価を確認します」「条件を比較します」「応募先を決めます」は、文末が三回そろった形になります。
「単価を確認します」「条件を比較したうえで、応募先を決めてください」が修正後です。
加えて文末の種類とあわせて、同じ語の表記がそろっているかも点検してください。
最後まで読まれる記事の組み立て方

記事全体の組み立ては、結論を先に出すところから整います。
そのあと決まった型に沿って並べ、見出しだけで筋が通る状態にしてください。
もっとも読まれないときは、文単位ではなく記事の並び順を疑いましょう。
結論を先に書いて理由で支える
見出しに対する答えは、その見出しの1文目に置いてください。
実はWeb記事の読者は、答えが出てくるまで待ってくれません。
背景や前置きから書き始めると、結論に届く前に離脱される流れです。
けれども1文目で結論を出しておけば、途中でやめた方にも要点は残ります。
理由と具体例は、結論を信じてもらうための材料です。
そのため後ろに置きましょう。
さらに1つの見出しで伝える答えを1つに絞ると、主張がぼやけません。
結論が最後まで出てこない記事は、読者にとって答え探しの作業です。
PREP法とSDS法を使い分ける
使う型は、PREP法とSDS法の2つで足ります。
PREP法は、Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論)の順に並べる型です。
一方SDS法は、Summary(要点)→Details(詳細)→Summary(要点)の順で組み立てます。
事実や手順を淡々と伝える場面に向いた型です。
ちなみにニュース番組の構成にも、使われています。
主張を通したい見出しでSDS法を選ぶと、根拠が抜けた薄い解説になりがちです。
納得させたい見出しはPREP法、事実を整理する見出しはSDS法と決めましょう。
そうすれば、迷いません。
PREP法の詳しい手順は、PREP法の書き方を解説した記事で確認できます。
見出しだけで内容が伝わるようにする
書き終えたら、見出しだけを上から読み返しましょう。
見出しを追うだけで記事の筋が通れば、構成は崩れていません。
反面中身を読むまで何が書いてあるか伝わらない状態もあります。
「〜について」で終わる見出しが、その典型です。
目次だけで記事の答えが見える状態を、目標にしてください。
そうすれば見出しに答えの方向が入り、拾い読みの読者もたどり着けます。
なお本文の内容と見出しがずれていた場合は、見出しの側を書き直しましょう。
拾い読みを想定して箇条書きと余白を置く
本文は、拾い読みされる前提で並べてください。
NN/Gの調査では、読者の視線がF字型のパターンで動くと報告されました。
ページ上部を横に読み、少し下でもう一度短く横に読む動きです。
そのあと左端を、縦にたどります。
そのため左端に手がかりのない長文の塊は、視線が素通りしやすい形です。
並列できる項目は箇条書きにして、1段落は3行程度で改行を入れましょう。
文字の壁が続くと、読まれる前に離脱されるおそれがあります。
よって余白を意識して、配置してください。
文章力を伸ばすトレーニング

トレーニングは、模写・推敲・指摘の記録・読書の4つを回すことで足ります。
- うまい記事の模写
- 時間を置いた推敲
- 受けた指摘の記録
- 判断基準を作る読書
もっとも即効性は低い代わりに、続けるほど効いてくる方法です。
したがって直し方を身につけたあとの習慣として、組み込んでください。
うまい記事を模写して型を写し取る
模写とは、見出しの立て方と段落の順序を書き写す作業のことです。
もちろん文章の味わいを楽しむ作業では、ありません。
検索上位の記事を1本選び、H2とH3の見出しだけをノートに書き出します。
どの見出しがどの問いに答えているかを並べると、骨組みが浮かぶはずです。
次に、1つのH3を丸ごと書き写してください。
1文目が結論か、2文目が理由か具体例かを余白に書き添えましょう。
ちなみに1記事につきH3を1つ選べば、十分な作業量です。
そうすればPREP法とSDS法のどちらの型かを、判別できるようになります。
自分の記事にも、同じ順序を移植できるでしょう。
時間を置いてから推敲する
書き終えた直後に読み返すと、意図が頭に残ったままです。
その状態では抜けた主語や飛んだ論理を自分で補って読んでしまいます。
よって推敲は、一晩など時間を空けてから行ってください。
一晩あければ、初めて読む方に近い目線で原稿を追えます。
加えて観点は、一文の長さ・主語と述語の対応・一文一義の3点に絞りましょう。
同じく文化審議会の「公用文作成の考え方」も、目安を示しました。
一文が50〜60字程度になったら、読みにくくなっていないか意識する目安です。
いずれにせよ長い文に気づいたら、話題の切れ目で2文に割りましょう。
受けた指摘を記録して再発を防ぐ
受けた指摘は、その場で直して終わらせないでください。
そのかわり1件ずつ、記録に残しましょう。
記録する項目は、指摘された箇所・指摘の内容・直したあとの文の3列です。
しかもシートをクライアントごとに分ければ、媒体のルールと弱点を切り分けられます。
同じ指摘が3回続いたら、自分の文章の弱点と考えてください。
次に書く記事では、執筆前に確認しましょう。
実は弱点の点検で見つけた崩れと同じ箇所が、記録に並ぶことも多いはずです。
点検の答え合わせとしても、使えます。
型を解説した本で判断基準を作る
直しの判断に迷わないためには、基準になる本を1冊決めてください。
しかも繰り返し読むのが、近道になります。
その1冊の候補が、唐木元『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』です。
出版はインプレス、2015年になります。
実は音楽ニュースサイト「ナタリー」の新人ライター研修が、下敷きです。
良い文章を「完読される文章」と定義したうえで、3章立てになります。
書く前に準備する・読み返して直す・もっと明快に、という並びです。
ところが何冊も同時に読むと、判断の基準がぶれます。
よって1冊を読み切ってから、次へ進んでください。
ほかの候補も比べたい場合は、Webライターにおすすめの本も参考にしましょう。
効果が出にくい上達法

伸びない原因は、努力の量ではなく取り組む順番と方法にあります。
たとえば効果が出にくいのは、読む量を増やすだけの読書、ルールの暗記、短文へのこだわりの3つです。
続いてなぜ伸びないのかを、順に確認してください。
読む量を増やすだけの読書
小説やビジネス書を読む量を増やしても、Webの文章力には直結しません。
同じくNN/Gの調査では、訪れた方の79%が斜め読みしていました。
精読したのは、16%どまりです。
さらに視線の動きも、F字型のパターンを描きます。
上部を横方向に読み、少し下がってもう一度横に走査する形です。
最後に左側を、縦にたどります。
通読を前提の本では、拾い読みに耐える見出しや一文目の作り方は身につきません。
けれども読む対象を変えれば、読書は点検の材料になります。
自分が納品する媒体の記事を開き、見出しと各段落の一文目だけを拾ってください。
意味が通るか、確認しましょう。
ルールを暗記してから書くこと
PREP法や一文一義を覚えてから書き始めようとすると、手が止まります。
その結果、時間だけが過ぎていくでしょう。
ルールは書く前の入場条件ではなく、書いたあとに使う点検表です。
唐木元『新しい文章力の教室』も、第1章「書く前に準備する」から始まります。
そのあと第2章は、「読み返して直す」です。
加えて暗記の量が増えるほど、一文目で止まる時間も長くなります。
ルールを覚えた状態と、ルールに沿って直せる状態は別ものです。
先に最後まで書き切ってください。
読み返しの段階で、ルールを1つずつ当ててみましょう。
短い文にこだわりすぎること
一文を短く切ること自体が目的になると、かえって読みにくくなります。
もっとも文化庁の指針も、一文の適切な長さは一概に決められないという立場です。
50〜60字程度という目安も、あわせて示されました。
50〜60字は、超えてはいけない上限ではありません。
読みにくくなっていないか意識するための合図になります。
意味のつながる部分まで、機械的に切ってはいけません。
前後の文のつながりが、読み取れなくなります。
指針が挙げる基準は、文の論点を一つにすることです。
同様に話題が変わるときに区切る、という点も並びます。
いずれにせよ切る位置は字数ではなく、論点で決めましょう。
まとめ:文章力は直す順番で上がる

Webライターの文章力は才能や語彙の量ではなく、直せる型の問題です。
語彙を増やす前に、一文の長さと文末のどこが崩れているかを特定してください。
その後は文単位の修正から記事単位の構成へと、範囲を広げます。
もちろん一度に全部直そうとせず、書く1本ごとに弱点を1つだけつぶしましょう。
次に納品する記事では、一文の長さと文末だけを点検してみてください。
